オードリーラジオに「若林くん童貞やんな」で有名な西加奈子が登場する神回【2015年6月6日オードリーのANNデータベース】

芸能

人間誰しもが経験する童貞。童貞というものについて、少なからず考えさせられる話が2015年6月6日オードリーのANNで展開された。

その日はオードリーの春日さんがフィンスイミングの世界大会でイタリアはヴェネツィアに遠征しているということで、若林さん一人で放送。ゲストにサラバ舞台で有名な西加奈子さんが登場した。(僕は舞台が好きです。青年に自意識と人生を描いた作品で共感しました)

この回の見所はなんといっても西加奈子さんと若林さんのトーク。まさに神回で、僕は大好きな回です。5回は聞いていると思う。だいたい年に1回のペースです。

「若林くん童貞やんな」の名作回が生まれた、いい距離感の理由

普段から作家の朝井リョウさん、中村こうさん、加藤千恵さんなどと飲み仲間というオードリー若林さん。特に西加奈子さんとはプロレスの話をしたり、酔っ払った西加奈子さんにとんでもない絡みをされたりする話をしていた。何より若林さんが楽しそうで、西加奈子さんに恋してるんじゃないの? というほど。

一部を取り出してみると、例えばこんな話をしていた。

・若林くん、童貞やんな(西加奈子さん)
・社会に対してまっすぐな目で向き合う姿は貴重(西加奈子さん)
・プロレスは「負け」の美学を教えてくれた(若林さん)
・若林さんは不良。中学生のときに数学を教えたとき、公式に意味を求める姿勢にすごいと思った。若林さんもそういう人(西加奈子さん)
・アナログを描きたい(西加奈子さん)

こうしてみると西加奈子さんの話が目立つが、やはり若林さんは引き出すのがうまいというか、純粋な目で知りたいことを聞くから若林さんが好きな人がゲストにくると話が面白い。

その上で、話していたのは西加奈子さんが作家の目で若林さんについて話すことが多く、春日さんがいない分2人の関係性だけで話していたので割と距離の近い会話が成立していたのも、居酒屋感があって面白かった。

童貞の若林さん is dead. しかしそれがいい。

そんな昔のラジオを聞いていて思うのはオードリー若林さんは最近「童貞らしさ」を失い、優しくも寂しい大人になったと感じること。

西さんがいう「若林くん童貞やんな」は純粋に笑える一方で、若林さんはもはや童貞ではない、ということを強く感じる。

本人も人見知りではないといっているし、若林さんが変わったと嘆くファンに対しては苦言を呈している。もう怒りとか感じないんだよね、エッセイとか書くことがないんだよね、と話す若林さんは僕は好きだが、ファンの層が変わっていたりもするんだと思う。

最近放送している日向坂46の番組はもはや親目線だし、春日さんの結婚で「何かしてあげたい」と話す姿はもはや童貞ではないことは明らか。

しかし結婚によって春日さんという親友を失いそうで、寂しそうな姿も感じ入るところがある…。

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童貞で無邪気な彼は死んで、その頃に思春期を超えきった私もラジオを聴くのをやめた。しかし、数年経って聞いてみると違ったおもしろみもある。純粋な腕、大人の面白さがあることを感じるようになった。

若林さんは大人になることで童貞のときには感じなかった痛み、孤独を噛みしめるようになった。怒りではなく、しっとりとした憂いを帯びてさえいるように感じる。司会として番組を回したあと、一人でイートインで食事をしている姿を想像すると泣けてくる。だが、本人は「そんなもん」と思っているだろうところにもさらに泣けてくる。そう、若林さんはすでに大人なのだ。

「大人になることは現実と生きること、自分の身の丈、将来が見えることだ。だから若いうちに結婚するといいよ。将来の可能性があるから。年取ると、だいたい自分の立ち位置とか、未来が見えてよくも悪くもつまらないから、結婚しにくくなるし、相手の未来を楽しめないよ」結婚をしたときに、人に聞いたことだが、その話を思い出して、ああ、以前は童貞芸人として名を馳せた若林さんも、もはや理想に生きる人ではなく、現実に生きる人間になったのだなあと思う。

しかしそれが、思春期を超えて家庭を持った自分には落ち着くものでもあり、だからこそ楽しく聞けるところでもある。若林さんは「このラジオって思春期から大人になる過程で通るラジオだからさ」「いやそんなことないでしょ笑」(春日さん)という会話をしていたが、それは正しくて少し違うと思った。オードリーと共に成長し、大人になりゆくラジオなのではないか。もしかしたら今も若林さんの中に生きる童貞ismに取り込まれて思春期を生きるリスナー(リトルトゥース)はいるかもしれない。しかし、大人になりゆく若林さんはきっとリルサーズのように一人でラジオはやらないし、春日さんが結婚して取り残されたら一人寂しい気持ちを抱えて、武道館が終わったあとの喪失感のようなものと同じ感情を抱えて、ラジオの次の舞台を探すのだと思う。(あるいは昼のラジオや、今は断っているニュース番組のコメンテーターかもしれない)

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こういう意見を見た若林さんは、決まって「うるせえな。他人の人生をとやかく言いやがってくそがよお。てめえで何かしてんのかああ?」とか言うことが多いが、そういうとこは好き。春日さんがリアルに痛いとこを疲れて反応できないときくらい好き。

では。

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